棟梁 沖野 誠一本文へジャンプ





゛水
 
WE  CARE ABOUT
NATUR AL RES OURCE



陸上生態系の炭素量の約6割を貯蔵する森林性他系。
森羅万象の生命(いのち)を育み、地球の温暖化の原因である二酸化炭素を貯めこんでいる森林。



  
森林は水を蓄える緑のダム 京都議定と書森林吸収
森は二酸化炭素の貯蔵庫 地球温暖化対策「高知県の取り組み」
化石燃料からつくられた建築資材は使わない 日本で森林バイオマスはどこまでエネルギーをまかなえるか
地球環境にやさしい製品を選びましょう 梼原町鎮守の森づくり条例
 

 ・森林には多くの働きがあり、これを多面的機能をいいます。万物の生命を育むのは「水」です。
 ・降った雨は、木の葉や幹を伝って地表を潤し、落ち葉や枯れ枝の間を通って地中に浸み込んでいきます。
 ・自然の貯蔵庫で時間をかけて、湧き水として地表を流れ谷川に出てきます。
 ・地下水となってゆっくりと流れていくのです。豊富な水は、大河となり農業や漁業、産業、交通手段として遙か彼方から
  生活や文明をつくり、日常生活や信仰など様々な面で生活と深く関わってきました。
 ・水はまさに天からの“恵”であり、古来より、森林(鎮守の森)を神とした信仰が生まれていることでも分かります。
 ・森林は、植生として3.300億t、土壌に6.600億tの炭素を貯蓄していると言われています。
 ・日本の森林面積は、国土の67%に当たる約2.500万haを占めています。
 ・生物の生存に必要な酸素を放出し、地球温暖化の元区である二酸化炭素を吸収しながら伐採されるまでの間も蓄え続けているのです。
 ・光合成を行う植物は、二酸化炭素を吸収して、炭素を体内に蓄えながら成長していきます。
 ・また、土壌も落ち葉や枯れ枝が集積し土壌中の微生物が有機物を大量に含んでいるので、いろんな植物が
  生育している森林は膨大な炭素を貯えている貯蔵庫といえるのです。
 ・森から伐採された木材は炭素を蓄えたままの状態で長く利用すると、炭素の貯蔵庫としての役割を担っていくことになります。
 ・近くの山から伐りだされた木材で家を建てたり、家具や建具に使用すれば、二酸化炭素を閉じ込めたまま、私たちの生活の場で
  蓄え続けられます。
  木の家や木の家具は炭素の貯蔵庫でもあるのです。
 ・木の家を建てた後は、樹木が切り出された跡地に新たな植林をして二酸化炭素を取り込んで成長させていきます。
  森林は唯一再生できる健全資源ではないでしょうか。


 ・カーボンニュートラル
  木質バイオマスエネルギーは地球に優しいといえるのでしょうか。それは、木や草は、空気中の炭酸ガスを吸収して成長するもので
  あり、長い目でみれば、いくら木を燃やしても大気中の二酸化炭素濃度の増大をもたらしません。
  これからは、化石燃料の代替燃料として積極的に利用することが大事です。
 
 ・地球温暖化を食い止めるために、二酸化炭素の排出を減らす取り組みがはじまっています。
 ・建築資材には、木材、ボード、現地で加工された内装材やエクステリア商品、太陽光発電などの部材など様々な商品が外国から
  運ばれています。
  安い賃金、安い原料、不明な粘着材を使用した合板などが安全性を確認せずに輸送されているのが実情ではないでしょうか。
  輸送にも石油が大量に使われています。
 ・輸入商品には「燃料サーチャージ」を表示することが必要です。
 ・原料+生産過程+燃料サーチャージが知れば、輸入製品がどのくらい二酸化炭素を排出したか一目瞭然です。
 ・表示を義務付けられれば、消費者は二酸化炭素排出の少ない商品を選択することができます。
 ・製造時のエネルギーが少ない木質原料を利用することによって、二酸化炭素排出削減が可能です。
 ・排出量の少ない製品は、その土地の風土に合った近くの山から伐られた木材で造る家や木製品です。
 ・木材は循環する資源であり、使い終わった後もリサイクルできる資源です。
  <木材の8割を輸入に頼る日本>
  ・使用木材の約8割を外国から輸入している状況です。
  ・日本で使われる木材の量は、約1億1.000万立方メートルほどです。
  ・住宅資材として輸入される木材の大部分はアメリカ・カナダの北米材、ロシアからの北洋材、東南アジアからの南洋材が主なものです
  が、近頃は南米のチリやニュージーランド、北欧諸国にまで拡張しています。
  ・ロシアやインドネシアでは、大面積の違法伐採が行われ、多くが輸入されていると言われています。
  ・日本は、政府開発援助資金を投入することでアジアの森林を大量に伐採してきました。
  ・アジアの貴重な森は破壊され、雨季には大災害が起こる危険な場所に変わってしまいました。それだけの犠牲を払って、
  アジアの国々はどれだけ豊になったのでしょうか。
  ・伐採後はハゲ山になった地面にヤシを植え、大量の農薬散布した農薬まみれのヤシが“環境にやさしい”植物製品の原料として
  輸入されているかもしれないのです。
     

                    
 ・地球環境白書によると、30年後は世界中の70%が乱開発の影響を受けています。
 ・森林破壊や環境汚染によってほ乳類の 種の4分の1が絶滅する可能性があると警告しています。
 ・森林は、枯渇が迫る化石燃料ではできない再生可能な 森林は適正な管理を行うことで、資源を繰り返し生み出すことが
  できる貴重な資源です。
 ・大量生産・大量消費・大量廃棄の時代は終わりました。山の資源をエネルギーに換える営みは、川上に人が住み山に手を
  入れることです。過疎や高齢化が進みました。私たちにできることは、森のためになるようなお金の使い方やライフスタ
  イルを見直していくことです
 ・化石燃料を原料とする製品を選び続ければプラスチックで地球は埋め尽くされてしまいます。
 ・プラスチックが発明されて半世紀の間に、総生産量は10億tを超えており、そのほとんど全てが現在もどこかで存在して
  います。
 ・これらが分解されて消滅するのに100年かかるのか、1万年かかるのか、誰にもわかりません。
  わかっているのは、これまでに廃棄されたプラスチックの何パーセントもが、海に流れ出し、太平洋の真ん中に巨大ゴミ
  海域を作り出し、波に洗われて微粒化して漂っているということです。
 ・プラスチックが海の生態系に与える影響は、今はまだわかりません。すでに海洋生物の鯨やイルカや海ガメの体内には
  ビニール袋や微粒ペレットが蓄積し死体も増え続けているのです。
 ・地球上のあらゆる生き物が安心して暮らせる地球環境を維持していくには、森林が育んで生れた製品を使い続けていく
  ことが大切なのです。
 ・自動車などの解体時に分別したリサイクルできる資源は積極的に再利用できる仕組みがありません。
  家は壊した後でも再利用が可能です。また、素材は時間をかけて土に還ることができます。
   
 ・「地球サミット」において、気候変動枠組条約が策定されました。
 ・先進国に温室効果ガスの排出削減を義務付けた京都議定書は、一定の条件を満たす森林が吸収する二酸化炭素の量を、
  各国の排出量から差し引くことを認めました。
 ・2008年から2012年までの間に、二酸化炭素の排出 量を1990年の水準より、どのくらい削減していくのか、森林が二酸化
  炭素を吸収した量を計算に入れて目標となる数字を示します。
 ・対象となる森林は、過去50年間森林がなかった土地への新規植林、1990年時点に森林でなかった土地への再植林と現存する
  森林のうち、適切な森林管理を行っている3種類になっています。
 ・日本は二酸化炭素の排出量を2008年から2012年までの間に、1990年の水準より6%削減することを目標とします。
              
  ・天然林の保全措置、人工林での下草刈や間伐を通じて森林の育成を行うことで、大量の森林吸収量を獲得することを目指し
  ています。二酸化炭素の排出量を国別で比較すると、日本は第4位になります。
 ・森林・林業・木材産業について(C02排出対策と吸収対策)

  @木質廃材や残地林材等を活用したバイオマスエネルギーの導入
  A再生可能な資源であり、他の資材よりも化石燃料消費が少なく、省エネルギー効果が高い木材の利用
  B適性な間伐と森林整備事業
≪高知県での事例≫
高知恵県高岡郡梼原町がこのほど、梼原中学校の寮に間伐材などを原料とする木質ペレット燃料の冷暖房機を購入しました。同町は町土の91%の森林を背景にした林業が中核的な産業であり、森林・林業の振興による全町挙げての「環境の里づくり」に取り組み、太陽光、風力発電を導入するなど環境行政を推進しています。同町の試算では、冷暖房購入による初期投資から維持運転費用を差し引くと3,00,000円割高になります。燃料費は毎年25万円ほど安くなるので、約10年後には回収できる見込みです。二酸化炭素排出量はペレットは7,6tに対してA重油は39,3tになり、年間では約31,7t削減できます。これは、約2300本の杉林が一年間に吸収する二酸化炭素に相当する量になります。
     設備などの初期投資                維持運転費
   ペレット代金     約31.000.000       ペレット年間  約1.300.000
   A重油の年間使用料  約28.000.000       A重油年間   約1.600.000

              3.000.000高くなる            250.000安くなる



高知大学特任教授の松崎武彦先生は、高知県木質バイオマス活用プラン検討委員会の座長であり、木質バイオマスエネルギー分野がご専門です。また、梼原町の事業にも参画されています。松崎先生からお許しを頂き「バイオマスー情報こうちブログ」から転用させていただきました。
ある乱暴な計算〜日本で森林バイオマスはどこまでエネルギーをまかなえるか
日本における木質バイオマスの一次エネルギーに占める比率は、黒液(パルプ廃液)を除くと0.2%に過ぎません。欧州連合の平均が5%を越えており、その中でも北欧やオーストリアでは20〜30%を占めており、開発途上国では 70〜80%を占めていることを考えると、日本は世界で一番低いと思われます。世界的には森林の減少は深刻な問題ですが、日本や欧米先進国では逆に森林に蓄えられている
木材量は毎年非常な勢いで増えているのが現状です。日本の森林蓄積量の年間増加量は1.7億?と云われています。これだけ使っても日本の森林は正常に保全される、というわけです。この数字が、木材生産量を含むものなのかどうかわかりませんが、仮にここから日本の木材生産2000万?を差し引いても、1.5億?を燃料に使ってもよいということになります。
この1.5億?を全部燃料に使うと仮定して、どれくらいの石油に相当するか、乱暴な計算をしてみました。樹木の含水率を100%(木と水が等重量)と仮定すると、熱量としては1.5億万?の樹木は7500万?の絶乾の木材に相当します。対象となる樹種の全乾の比重は、スギ(0.35)、ヒノキ(0.4)カラマツ(0.46)なので、平均で0.4とすると、3000万tの絶乾木材ということになります。
この木材の持つ熱量は、重量あたり石油の半分として、1500万tの石油と同等の熱量をもつことになります。一方、日本の年間の原油輸入量は約2億tです。そのうち80%がエネルギー源として使用されていると仮定すると、1.6億tです。即ち、1500/16000=0.094で、木材が石油の9.4%に相当することになります。
日本におけるエネルギーの石油依存度は約50%ですから、一次エネルギー消費に占めることが可能な森林バイオマスは、最大で5%程度ということになります。これに、森林を利用する小水力発電や、建築廃材、パルプ廃液を加えればもう少し高くなります。なお、この計算は日本全土を対象としたものです。高知県という一定地域を対象にした場合には全く異なる結果になることはいうまでもありません。この乱暴な計算に、ご批判をお願いします。 

≫バイオマス情報ーこうち

2009年に高知県木の文化賞選定委員として梼原町総合庁舎の審査に行きました。完成は平成18年10月です。設計は慶応義塾大学理工学部システムデザイン工学科の隈研吾建築都市設計事務所です。
 
 梼原町役場全景  梼原町役場吹き抜け天井 
梼原は、古来、森林(もり)に抱かれ、森林によって生かされてきた。
それは、四万十川源流の景観として残され、その清流を生み出し、津野山神楽に代表される伝統文化や木造建築物などの民俗文化にも色濃く反映されている。地域住民にとって、最もなじみの深い森林は鎮守の森である。
それは、鎮守の森が、古木が生い茂りうっそうとしたたたずまいでありながら、多様な生物を育み、祭や信仰、崇拝の対象となり、常に地域住民の心の拠り所であったからである。

森林は、経済的な価値の外に、水資源のかん養や国土保全や生物種の多様性を維持するなど、自然と共存するために重要な存在であり、従来注目されなかった森林芸術や教育、文化的な価値が高い。
本町が、森林・林業の振興によって「木の里ゆすはら」を実現するため、町の面積の大部分を占める森林を育成・整備していくに当たり、森林の有する多様な機能が十分に発揮できる懐の深い森林づくりのシンボルとして、鎮守の森の意義を改めて認識するとともに、常に良好な森林整備に取り組むことを本町の林政の基本的な方向として確認し、この条例を制定する。  平成7年3月9日  条例第24号

鎮守の森
梼原町
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沖野建築
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