◆ 基礎工事・土台を敷く  
役割に応じて裁断された材が現場に運び込まれます。土台を据え付けるために、職人が基礎に芯墨を打ちます。これをもとに埋め込まれたアンカーボルトの位置に合わせて、土台に穴があけられ基礎に固定されます。そのあと、土台が直角に組まれていることを確認する作業を行います。一階の床組は「土台」「大引」「根太」「床束」などの部材で構成されています。地面に近いため、通風をよくしておくことが大事です。また、上部荷重を基礎に伝えるため、腐り難い部材を使用しました。

◆ 通し柱の引技に対応する金物  
柱は一階から二階まで一本の通し柱です。
根元は基礎まで降ろし、土台は短ホソをとり、ボルト締めとしました。柱を基礎に降ろす効果は、断面よりも繊維方向の強度が強いためです。 写真右は隅柱を土台に据付でいるところです。
土台にはホゾ、柱にはホゾ穴を彫り柱の下場を基礎まで降ろし、ボルトで締め付けます。また、柱の端面が土台より大きいため、柱と土台は落とし蟻で納めています。
一方の土台を通し、もう一方を蟻仕口で組み、一般柱(管柱)をホゾ差しとしました。柱ホソは基礎まで降ろし、耐久性に配慮しています。 隅柱を基礎に降ろし、ボルトで土台と緊結させています。どちらも棟梁の作風です。 
土台をT字型の接合部に使用する仕口です。大入れ蟻継ぎといいます。
取り合う材同士の上端を揃え、大入れとすることで、捩れを抑えます。

◆ 土台の金輪継ぎ  

ヒノキの金輪継
土台継手の強度を保つため、最高位の強度を持つ金輪継ぎで納めました。

土台の継手です。樹種はヒノキの金輪継です。土台番号(名前)『北へ又十七』と呼び、文字を記した面が北です。胴付面に記した文字は、数十本を積み重ねた時、存在口から確認するためです。 

◆  通し柱を建てる 

基礎の土台ができると一気に柱が組み上げられます。一番最初に立て込まれるのが通し柱です。
一階の管柱を順に建てながら、間に差しぬきや中敷を差し、胴差しや軒桁を組み込んでいきます。
また、不安定な通し柱は仮筋交いで支えておきます。 

◆  込み栓打ち    
込み栓は、材同士のほぞ継ぎを締め付けることで強度を保ちます。

◆  梁を架ける   
建物の外周の土台に管柱を納め、柱の上のホゾに軒桁を差込ます。
さらに、梁を掛けて固定して、継ぎ手、飛び梁などを足していきます。こうすることで、しっかりとした軸組工法になるのです。写真は見出しの丸梁で、県産材の杉材を使用し、横架材に男木(おぎ)を使いました。「背」の張っている方を上に組み上げていきます。長さは4m、末口は8寸(240o)です。木組みは寸法で組まず、木の癖で組みます。斜面で育つ樹木は真直ぐには育ちません。年輪密度が高い方を「背」その反対側を「腹」と呼びます。この曲がりを利用して、梁や桁を組んでいきます。このように、木癖を読み取りながら、適材適所に配材して美しく組み上げていく技術はムクの木ならではの楽しみです。

◆  棟上とひずみ直し 

上棟式です。
軒桁などの角を火打ち梁で固定して、2階の床部分を支える根太を打って、2階外周の管柱を立て軒桁を付け、その上に棟木を取り付けます。


この作業を棟上と呼び、上棟式が行われます。
その後、棟梁の手で建物のひずみやゆがみが修正され継ぎ手や仕口の修正作業を行います。

屋根の勾配に合わせて、屋根の稜線に当たる部分に隅木が渡され、屋根の中心部から軒先に向けて屋根の骨格となる垂木が架けられます。

 ◆ 屋根の骨組み作業 

軒桁据付作業です。ホゾ穴にほぞを組み込んでいきます。

  投げ掛け小屋組の行合い継ぎ  
梁間が大きい場合には、敷梁の上で継ぐように両側から梁を架けます。屋根の小屋束を支える梁のことを小屋梁といいます。

小屋組みの組み立て  

◆  屋根を完成させる 

桁・梁・束・母屋(もや)・棟木・垂木で構成された三角形の構造の美しさが特徴です。
屋根の勾配に合わせて、屋根の稜線に当たる部分に隅木が渡され、屋根の中心部から軒先に向けて屋根の骨格となるたる木が架けられます。
小屋組の構造です。
「地廻り」と呼ばれる桁と梁材でつくられた水平部材の上に、束を立て母屋(もや)を載せ、垂木を並べていきます。「梁間が4間前後になる小屋組に用いられます。敷梁の上部で継ぐため、両側から投げ掛ける梁を「投掛け梁」と呼びます。この梁の元口を((木の根に近い方)軒桁に架け、末口(枝葉に近い方)同士を継いでその上に小屋束を立てます。また、小屋梁に対して直角に取り合う軒桁との仕口部分には火打ち梁をそれらの交差部に入れ、歪みが起きないよう固めます。



棟木(むなぎ) 棟の位置に置いた横木を指し、棟木同士を継ぐ時には追掛け大栓継ぎで仕上げます。
母屋(もや) 棟と平行置かれ、垂木(たるき)を受けるために架けられた部材です。
小屋束(こやづか) 屋根荷重を梁に伝える部材です。
仮筋(すじ)かい 小屋組の変形を防ぐために、棟束の左右から取り付けます。
垂木(たるき) 屋根の荷重受けに棟から軒へ架け渡した斜材です。


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